4. PCB (polychlorobiphenylの略)

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は毒性が強い代表的な有機塩素化合物である。PCBは化学的にも熱的にも安定で,生体内に蓄積されやすい。工業材料としてきわめて優れた特性を数多く持っているため,昭和47年の製造中止まで次の用途で広く消費されていた。

 

潤滑油・・・潤滑油,油圧オイル油,真空ポンプ,切削油など

可塑剤・・・絶縁テープなど各種プラスチック製品,塗料など

紙類・・・・感圧紙(三菱製紙,十条製紙,神崎製紙,フジフィルムのみ)など

その他・・・陶磁器やガラス器の彩色用,顔料分散剤,一部の化粧品,ハンダ酸化防止剤,衣料防火,顕微鏡オイル,分析用標準物質など

電気絶縁用・・・<重電用>変電所・車両などの大型トランス,進相コンデンサ,X線発生用高圧トランス,<家電用>テレビのフライバックトランス,蛍光灯用安定器,クーラーなど

熱媒体・・・各種加熱・冷却装置,ボイラー,パネルヒーターなど

 

昭和47年以前に製造された上記のものはPCBの含有の有無について確認する。PCB含有物は部局などでまとめて,処理可能となるまで厳重に保管する。また,その保管量は届出の対象となっている。

 

5.有機りん化合物

りん酸,ホスホン酸,ホスフィン酸のエステル及びアミドからなる一大化合物群であり,主に農薬として使用されてきた。殺虫剤としては,TEPP(テトラエチルピロホスフェイト),パラチオン,メチルパラチオン,メチルデメトン,マラソン,DEP(ジメチル-2,2,2-トリクロロ-1-ヒドロキシエチルホスフェイト),DDVP(ジメチル-2,2'-ジクロロビニルホスフェイト),ダイアジノンなどがある。殺菌剤としてはIBPS-ベンジルジイソプロピルチオホスフェイト),EDDP(エチル-S,S-ジフェニルジチオホスフェイト)などである。除草剤ではアミプロホスメチルがある。

皮膚につくと皮膚炎,ミスト,粉末,液などを飲み下すと,吐き気,嘔吐,呼吸困難,けいれん,めまいなどから死に至ることもある。

 

6.             美術工芸系廃棄物の処理

1)美術工芸系廃棄物の種類

美術工芸系の教育研究活動では,重金属や有機物などの有害物質を含む絵具,染料などが使用されており,これらを含む廃液及びこれらが付着した紙,布,木,金属,プラスチックなどの固形廃棄物など(以下「美術工芸系廃棄物」という)が発生する。

2)処理方法

 美術工芸系廃棄物の処理は,基本的には「III廃液の収集,貯留など」に準じて行えばよい。ただし,重金属と有機物を同時に含んでいるものであり,その特性に応じて適切に処理する必要がある。

 以下,美術工芸系廃棄物の主なものの処理方法を示す。

(1)    絵具廃液

 絵具廃液には,一般的に重金属が含まれており,「III1 無機系廃液の収集,貯留」に準じて処理する。なお,重金属と有機物を同時に含む場合は,後述の(2)染色廃液と同様な方法で処理する。

(2)    染色廃液

 染色廃液には,一般的に重金属と有機物が同時に含まれており,IIIの表1 5 又は表3 10 に準じて処理する。

(3)    版材処理廃液

 版材処理によって生じた銅,亜鉛などの重金属を含む廃液は,「III1 無機系廃液の収集,貯留」に準じて処理する。

(4)    固形廃棄物

 絵具,染料などが付着した固形廃棄物は,「III5 スラッジ類の収集,貯留」に準じて処理する。

5) 陶芸排水

 陶芸において使用される陶土や上薬には一般的に重金属が含まれており,成形作業の過程で流水中に懸濁細粒となって移動するので,陶土や上薬を沈降させ,上澄み液のみを流出させるようにし,有害物を含む沈降物は定期的にくみ出して乾燥させた後,スラッジ類として「III5 スラッジ類の収集,貯留」に準じて処理する。

 

7.  厨房排水,病院の生活系排水,畜舎・動物舎などの排水について

1)     厨房排水

 大学などの生活系排水の中でも厨房排水は特に油分が多く,排水基準値を上回る恐れがある場合には,他の生活系排水とは別に処理を行う必要がある。

 一般的な処理方法は,グリーストラップを用いる方法である。これは,排水を一定時間滞留させることによって,油分を浮上させ,排水から油分を除去する方法である。

2)     病院の生活系排水

病院の生活系排水のうち,法定伝染病棟から排出される排水については,医療法に基づき,消毒する必要がある。

3)     畜舎・動物舎などの排水

 畜舎・動物舎などの排水は,一般の生活系排水に比べて,BODなどの数値が高く,その特性に応じて適切に処理する必要がある。処理方法としては,生物処理などがある。

次ページ           手引目次へ      top