9.PRTR法について

PRTRとはPollutant Release and Transfer Register(環境汚染物質の排出・移動登録)の略であり,法律の名称は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(平成117月 法律86)となっている。

 

1.法律の骨子は以下である。

(1)          事業者(基本的には全事業者対象)に化学物質の環境への排出量や廃棄物の移動量の把握と国への届出を義務付ける

(2)          国は物質ごとに,業種別,地域別など集計し公表

(3)          国は小規模事業者や家庭,農地,自動車などからの発生量も推定して公表

(4)          化学物質の譲渡などの際,化学物質の性状や取扱いについて記載したデータシート(MSDS)を添付するように事業者に義務付ける

2.法律の目的は事業者,行政,国民がデータを共有して化学物質のリスク管理に役立てることと事業者の排出量の削減,リサイクルの推進である。

3.法律の以下事業者を対象としている。

(1)     政令で以下の業種が指定されている事業者

金属鉱業,原油及び天然ガス鉱業,製造業,電気業,ガス業,熱供給業,下水道業,鉄道業,倉庫業,石油卸売業,鉄スクラップ卸売業,自動車卸売業,燃料小売業,選択業,写真業,自動車整備業,機械修理業,商品検査業,計量証明業,ごみ処分業,産業廃棄物処分業,特別管理産業廃棄物処分業,高等教育機関,自然科学研究所 

(2)     従業員数は常用雇用者21人以上である事業者

(3)     第1種指定物質の年間取扱い量1以上取扱いをしている事業者

     但し,次の要件を満たす事業所も対象とする。

(ア)        人に対して発ガン性のある物質(発ガン性クラス1;別表発ガン性○印)の年間取扱量が0.5以上取扱いをしている事業者

(イ)        下水道又は廃棄物処理業を営む者であって,下水道終末処理施設又は廃棄物処理及び清掃に関する法律に基づく許可又は届出の対象となる施設を設置する事業者

(ウ)        天然物を原料とする場合は,含有化学物質の環境への排出に関し,関係法令に基づく届出,許可などの対象となる施設を設置する事業者

(エ)       法令に基づきダイオキシン類の排出濃度の実測義務が課せられている事業者

. 対象化学物質(政令指定)は以下の通りです。

第一種化学物質(354物質);PRTR及びMSDSの対象物質

(化学物質管理システムの区分P0(発ガン性)およびP1参照)

第二種化学物質(81物質) ; MSDSのみ対象物質(同区分P2参照)

MSDSとはMaterial Safety Data Sheet(化学物質安全性データシート)の略で,物質の特徴,応急措置火災時・漏出時の措置,取扱い及び保管上の注意,暴露防止措置,物理/化学的性質,危険性・有害性・環境影響情報,廃棄上の注意,適用法令など有益な情報が記載されている。

 

対象化学物質は以下の理由で選定せれています。

(ア)   人の健康や動植物の生育などに支障をおよぼす恐れのあるもの(発ガン性,生殖毒性など)

(イ)   被害や因果関係が証明されていなくても潜在的に有害なもの

(ウ)   生態毒性及び相当広範な地域の環境に継続的に存在(残存)するもの

下記(1)〜(4)のいずれかに該当するものであって指定化学物質を1質量%以上(ただし,発ガン性物質については0.1質量%以上)含有するものが対象物質です。

()  気体又は液体状の混合物

()  固体状の混合物のうち粉末などの固有の形状を有しないもの

()  固体の形状を有する混合物のうち取扱い過程で指定化学物質を溶融,蒸発又は溶解する可能性のあるもの

()  石綿を含有する製品であって取扱い過程で精製や切断などの加工が行われるもの

ただし以下(ア)〜(ウ)のものは除く。

(ア)   主として一般消費者の生活の用に供される製品のうち指定化学物質が排出されないよう容器などに密閉包装された状態で流通し,販売・提供されるもの

(イ)   密閉されたままの状態で使用される形態の製品

(ウ)   譲渡,提供され再生される製品(再生資源)

 

. PRTR法の罰則

届出をせず,又は虚偽の報告をした事業者は,20万円以下の過料を科す。

 

PRTRでの把握事項の概略図を以下に示す。

 

 

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