10. 廃棄試薬の主な処理法

 

区  分

処   理   方   法

 

 

 

水銀系

水銀系廃棄試薬については,水銀専門の産業廃棄物処理業者に処理を委託することが考えられる。水銀系廃液及び水銀系スラッジ類はセンターにて収集する。センターに問い合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

シアン系

シアン系廃棄試薬は,次亜塩素酸ナトリウム酸化分解法で簡単に分解できる遊離シアン化合物(KCN, NaCNなど)と比較的分解し易い錯シアン化合物(K2Cu(CN)4, K2Zn(CN)4 など)及び分解の難しい難分解性錯シアン化合物(K3Fe(CN)6, K4Fe(CN)6 など)に大別できる。遊離シアンや比較的分解し易い錯シアン化合物は,アルカリ性溶液中で溶解後,次亜塩素酸ナトリウムを用いて処理する。この方法で分解の難しい難分解性錯シアン化合物については,水で溶解したのち廃液として焼却炉で熱分解により処理を行う。センターに問い合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっ素及びりん酸系

ふっ素及びりん酸系廃棄試薬は,それぞれ水で溶解した後,塩化カルシウムを加えると,ふっ素廃棄試薬は難溶性のふっ化カルシウムとして,りん酸系廃棄試薬は難溶性のりん酸カルシウムとして沈降する。これらの沈殿は溶出試験を経て無機スラッジとしてセンターにて回収する。

錯ふっ化化合物の場合 代表的な例としてほうふっ化化合物(BF4-)があげられる。この試薬は,溶解後,塩化カルシウムを加えても可溶性のふっ化化合物が生成し,処理できない上,活性アルミナ塔に通水してもふっ化物イオンの除去が難しい。処理法としては,溶解後,過剰のアルミニウムイオンを加え,十分加熱して,ふっ素をアルミニウム錯体にした後,塩化カルシウムを加えて処理する。

 

 

ひ素系,クロム(VI)系,重金属系

これらの廃棄試薬は,重金属系廃棄試薬として取り扱う。廃棄試薬を水又は酸で溶解した後,重金属系廃液として処理する。

 

 

アルカリ金属単体及び水素化物

金属ナトリウム,金属カリウム,ナトリウム又はカリウム合金,水素化リチウムなどは,アルコール中に少しずつ加え,加水分解させる。(水素が発生するので注意すること)

 

 

 

 

酸,アルカリ系

酸及びアルカリ系廃棄試薬は,できる限り廃棄試薬同士で中和して放流する。塩化アセチルや塩化チオニル等は,激しく加水分解するので,少量ずつ水の中に滴下し分解してから中和処理する。なお,塩酸,硫酸,硝酸などの廃棄試薬は,重金属系廃棄試薬の溶解その他の処理に有効利用できる。

 

酸化性物質,還元性物質

酸化還元反応によって中性塩とする。

 

区  分

処   理   方   法

 

 

 

 

 

 

 

 

可燃性有機系液体,特殊引火物

可燃性有機系液体は,試薬びんから取り出せば燃焼法で比較的簡単に処理できるものが多い。しかし,試薬びんの中で分解などして内圧が高くなっているものや栓が開きにくいものなども含まれており,安易に取り扱ってはならない。金沢大学では廃溶媒類として貯留する。

特殊引火物のうちジエチルエーテル,ジオキサン,テトラヒドロフランなどは,水で20倍希釈後,希薄有機水溶液とする。

特殊引火物のうち二硫化炭素の処理は,難燃性のキサントゲン酸塩あるいはジチオカルバミン酸誘導体のアンモニウム塩を生成させ,水に溶解し希薄有機水溶液とする。

 

 

 

 

 

 

 

難燃性有機系液体・ハロゲン(塩素)系液体

難燃性の有機系液体は,焼却炉で熱分解により処理を行う。

ハロゲン(塩素)系の液体も試薬びんから取り出した後,燃焼炉で熱分解処理が可能であるが,分解ガス中の塩素濃度が高くなると洗浄塔で塩素ガスの中和が不十分になる。このためあらかじめ可燃性の有機系廃液と適宜混合し,燃焼ガス中の塩素ガス濃度が,洗浄塔の洗浄能力を超えないように注意する。金沢大学では難燃性・不燃性溶媒類として貯留する。

トリフルオロ酢酸のようなふっ素化合物を含む液体は,燃焼法により熱分解処理を行った後,分解ガスを洗浄した洗煙水槽中のふっ素イオンの二次処理が必要であるのでセンターに問い合わせる。

 

 

 

 

 

固形物,爆発物,農薬

有機系廃棄試薬のうち排出量が比較的多いのが固形物である。固形物は可燃性のものや不燃性のものなど様々であるが,基本的には固形物専用の焼却炉で燃焼あるいは熱分解により処理する。処理条件は試薬ごとに異なるため,周到な準備と経験が必要である。

固形試薬のうち特に爆発性の過酸化ベンゾイルなどはあらかじめベンゼンなどの有機溶媒で溶解・希釈してから,安全性を確認した後,液体用焼却炉で燃焼処理する。処理上安全性を確認できない爆発物は,安全な方法で厳重保管する。金沢大学では産業廃棄物処理業者に委託する。

農薬は,燃焼あるいは熱分解で処理するが,化学的に安定で分解条件に疑問が残る場合は,実験室的に分解条件などを確認した後,処理を行う。金沢大学では産業廃棄物処理業者に委託する。

 

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